プロが教える失敗しないための葬儀社選びの10のチェックポイント!
葬儀は一度きり。やり直しはできませんし、葬儀にかかる費用も決して安くはありません。納得のいく葬儀を行うためには、信頼できる葬儀社選びが必要です。本記事では、失敗しないための葬儀社の選び方について、厚生労働省認定の一級葬祭ディレクター・森井 功介さん監修のもと、詳しく解説します。
目次
まずは葬儀社の種類を理解しよう
葬儀事業者は国内に8000以上あるといわれており、葬儀社と一口にいってもその種類や特徴は様々です。数ある葬儀社の中から正しく葬儀社を選ぶためには、まず葬儀社の種類を知ることから始めましょう。ここでは、「葬儀専門業者」「協同組合系」「互助会」「葬儀仲介サービス業者」の4つについて特徴をご紹介します。
1.葬儀専門業者
葬儀社として一般的なのが葬儀専門業者です。葬儀サービスの提供を専門としており、自社で斎場を保有している場合もあります。葬儀専門業者は大きく「大手葬儀社」と、「地域に密着した中小規模の葬儀社」の2種類に分けられます。
【大手葬儀社】
大手葬儀社は全国または特定の地域に複数の店舗や自社斎場を保有しているケースが多いのが特徴で、実績の豊富さを強みとしてます。組織の規模が大きいため、人材が充実しているのも特徴です。
【中小規模の葬儀社】
中小葬儀社は地域に根ざした葬儀社も多く、地域コミュニティを有していることが多くあります。そのため依頼者に合った斎場を提案してくれることが期待できます。中小葬儀社は大手ほどスタッフの人数が多くありませんが、打ち合わせから当日の進行、アフターフォローまで同じスタッフが担当してくれることを考えれば、一貫したサポートで遺族に寄り添ったサービスを提供してくれるというメリットがあります。
2.協同組合系
農協(農業協同組合)や生協(生活協同組合)などの協同組合は、組合会員向けサービスとして葬祭事業を行っています。利用するためには組合員であることが条件ですが、故人本人でなくても葬家家族に組合員がいれば利用できます。葬儀そのものは専門の葬儀社と提携しているところもありますし、独立して葬儀社を用意しているところもあります。
3.互助会
互助会とは冠婚葬祭互助会の略で、加入者が毎月一定の金額を積み立てることで冠婚葬祭の際にサービスが受けられるというシステムです。毎月冠婚葬祭費用を積み立てるので、突然の出費に備えることができます。積み立てが完了していない場合でも、全額との差額を支払えばサービスが利用できます。しかし、積み立て金だけで葬儀の全費用がまかなえるわけではないので注意が必要です。
4.葬儀仲介サービス業者
「小さなお葬式」や「イオンのお葬式」は、一定の金額で葬儀をしてくれる葬儀社を紹介するインターネットサービスです。誤った認識をしている方も多いのですが、「小さなお葬式」や「イオンのお葬式」自体が葬儀を行うわけではありません。あくまでも提携している葬儀社を紹介するのが役目です。一度に複数の葬儀社を比較でき、低価格なプランが多く掲載されていることが魅力的ですが、実際に葬儀を行うのは「小さなお葬式」や「イオンのお葬式」が紹介した別の葬儀社になります。実際に対応してくれる葬儀社の顔が見えにくいため、紹介サービスの対応と葬儀社の対応にギャップがあるケースも多くみられます。
後悔しないために!こんな葬儀社には注意しよう
数ある葬儀社の中には、適正価格でなかったり、サービスの質が低い葬儀社も存在します。ここでは、葬儀社選びの際に知っておくべき注意点をご紹介します。
互助会の注意点
互助会は資本力があるため、葬儀サービスの全国展開が可能となっています。最近では家族葬向けの斎場も増えてきているだけでなく、斎場が駅近だったり、設備が整っていたりと利便性が高いことがメリットとして挙げられます。
一方で、多くの斎場を所有している互助会は、多額の設備投資をしています。そのぶん、地域の葬儀社と比較すると、葬儀費用が高額になるケースがあります。ここでは互助会を利用する際の注意点をご紹介します。
・広告の表示価格と実際の費用が大きく異なるケースに注意しよう
最近では互助会はチラシやタウン誌などの広告で、低価格設定の葬儀社に合わせた価格帯で宣伝を行っています。しかし、実際には広告に表示されている価格では葬儀を行うことはできません。
実際にかながわセレモニーサポートでも、「十数万円で葬儀ができる」という互助会の広告を鵜吞みにして葬儀の依頼をしたところ、気づけば百万円以上の見積りになっていたというご相談も受けています。
大手互助会でも、広告や電話問い合わせで「価格を安く見せる」という手法が多くなっています。あたかもその価格で葬儀すべてが行えるように見せていますが、多くの場合多額の追加費用が必要となります。
また、葬儀に必要ないサービスの費用まで請求されることも多々あります。例えば音響設備費などは、10~30名規模の家族葬といった通常の小さなお葬式では本来必要ありません。そういった本来であれば不要な費用が知らず知らずのうちに費用に含まれることで、当初の表示価格と実際の費用は大幅に異なっていきます。
・積立金だけでは葬儀はできないので注意!
互助会に入会すると、毎月1000~5000円の積立金を支払うこととなります。しかし毎月積み立てていても、その費用だけで葬儀費用すべてを賄えるわけではありません。もちろん積み立てたお金で葬儀費用の一部を賄うことはできますが、積立金が何の費用に充てられるのかはこちらで指定できません。実際、積立金が本来葬儀に必要ないサービスの費用に充てられていたというケースも少なくありません。
・互助会はいつでも解約できる!解約手続きの代行も検討しよう
また、互助会は毎月一定の額を積み立てるシステムとなっていますが、実はいつでも解約できるということを知らない方も多いのが現状です。
解約の手続きが複雑な場合もありますが、解約方法を教えてくれる葬儀社もあります。かながわセレモニーサポートでも解約のサポートをさせていただいております。
もし50万円積み立てているのであれば、手数料10%を引かれたとしても40万円が手元に戻ってきます。40万円あれば、地域の葬儀社で家族葬を行うこともできるでしょう。
葬儀仲介サービス業者の注意点
「小さなお葬式」や「イオンのお葬式」などの葬儀ポータルサイトを、一つの葬儀社だと勘違いしている方も多くいらっしゃいますが、そうではありません。また「日本で一番」「日本全国どこでも」と広告を出しているケースもありますが、全国対応できる葬儀社などまずあり得ません。
ポータルサイトを通して、地域の葬儀社に依頼し、手数料として中間マージンを取るという仕組みになっています。そういったポータルサイトの手数料は、中小葬儀社にとってはかなり痛手となっているのが事実です。多くのポータルサイトでは売上の約30%が手数料としてかかります。そうなると、葬儀社の良し悪しが出てきてしまいます。ポータルサイト経由の依頼に対して、丁寧に対応してくれる葬儀社もあれば、手数料が取られてしまうことがわかっているので対応の質を落とさざるをえない葬儀社もあるのです。たとえばポータルサイト経由で火葬の依頼を受けた場合、手数料が取られてしまうため、実際に対応する葬儀社の利益は5万円程度になります。そうすると、大切な人の最期の時間は家族にとっては変わらないものですが、葬儀社にとっては変わってしまうこともあるのです。
こういったポータルサイトは広告費に膨大な予算をかけているため、CMやチラシ、Web広告などで多くの人がその存在を認知しています。インターネットで検索したときにも、ページの上部にサイトが表示されるため、特に急いでいる人はそういったポータルサイトに流れてしまいます。サイトも綺麗に作られているため、疑いなく利用する方も多いですが、葬儀の質にも関わってきますので、しっかりと検討することが大切です。
低価格葬儀社の注意点
最近では低価格で葬儀の広告を出している葬儀社が増えています。中には9万円台で葬儀ができると言っている葬儀社もあります。このような安すぎる広告には要注意です。必ず追加費用がかかると思ってください。
安さを優先してしまったことで、故人と一度も面会できなかったり、火葬の前にお別れができなかったり、後悔に繋がる可能性があります。
また、病院からご遺体を運ぶときには、8ナンバーで緑色のナンバープレートがついた寝台車を使用しますが、低価格葬儀社に依頼したところ緑ナンバーではない車が病院に迎えに来たという例もあります。
直葬や火葬式のような低価格な葬儀でも、社によって対応はさまざまですので、事前の葬儀社選びが重要です。
低価格の葬儀を検討する際には、
・追加費用はかかるのか
・何にどのくらいの費用がかかるのか
・どこで面会ができるのか
・どれだけお別れの時間が取れるのか
・支払い方法には柔軟に対応してくれるか
などを事前に問い合わせて確認しておいた方が良いでしょう。
初めての葬儀や、急な葬儀の場合、費用感に納得がいかなかったり、担当者の対応に疑問を感じても、冷静な判断ができずにそのまま流されてしまうという方も少なくありません。
一度限りの大切な葬儀ですので、後悔のないように、時間をかけてでも納得できる葬儀社に依頼しましょう。
葬儀社を選ぶ前に考えておくべき3つのこと
葬儀社を選ぶ際、多くの人がインターネットで検索し、複数の葬儀社を比較検討しています。多くの葬儀社がある中、特徴や良さは葬儀社によって様々ですので、比較サイトを見て迷われる方も多いでしょう。ここでは、葬儀社選びをスムーズに始めるために最低限考えておきたい3つのポイントを紹介します。
・葬儀を行うエリア
・葬儀形式と参列者の人数規模
・予算の上限
葬儀を行うエリア
葬儀社によって、葬儀に対応しているエリアは異なります。どの地域で葬儀を行うのかを最初に決めておくことで葬儀社は探しやすくなります。エリアによって平均の葬儀費用が変わることもあるので前もって考えておきましょう。
葬儀形式と参列者の人数規模
葬儀形式と参列者の人数規模によって葬儀費用が大きく変わります。葬儀の形式には色々な種類があり、各葬儀社が様々なプランを出しているため迷われる方も多いでしょう。前もって一つに絞らなければいけないわけではなく、葬儀社の担当者と相談しながら決定することができますが、最初に形式や規模について考えておくと葬儀社探しがスムーズになります。
予算の上限
相場がわからない状態で予算を決めておくのは難しいかもしれませんが、費用感について大体把握できているという方は予算の上限を決めておくと良いでしょう。葬儀社によっては強引に営業をしてきたり、その場の空気に流されたりして予想以上の負担になってしまう可能性もあります。そうならないためにも、あらかじめここまでなら出せるという予算を考えておきましょう。
「誰が」対応するかで葬儀の満足度は決まる
その人が、懸命に生きた生涯の最期の儀式。満足いくものにしたいですよね。では、多くのお客様は葬儀の何に満足を感じているのでしょうか。値段や祭壇、もちろんそれらも大切な要素ですが、一番大きな要素は「人」です。葬儀の質は「誰が」対応するのかで決まるのです。
葬儀は人が集まればどのような形でも行うことができます。ここでいう人とは、故人様、喪主、家族、親族、参列者、寺院たちのことで、ここに葬儀社スタッフが含まれます。費用や祭壇や式場設備ももちろん大切なことですが、いい人、いいスタッフとの巡り合わせこそが、もっとも満足を感じる要素なのです。
これらをふまえて、葬儀社選びのポイントをご紹介します。
失敗しない葬儀社選びの10のチェックポイント
では実際に葬儀社を選ぶ際にはどういった点に着目すれば良いのでしょうか。ここでは、厚生労働省認定の一級葬祭ディレクター・森井 功介さんによる監修のもと、失敗しない葬儀社選びのポイントをご紹介します。
ポイント1.葬儀費用が明確に提示されているか
事前に葬儀費用の明細が提示されないまま葬儀の打合せを進めていくと、請求時のトラブルに発展する場合もあります。わかりやすく明確な見積もりを提示してくれ、料金には何が含まれて、何が含まれていないかを説明してくれる葬儀社を選ぶと安心です。また、見積もりの費用はあくまで「最低費用」なので寝台車の回数や、安置日数によって追加料金が発生することがあります。そういった追加料金が必要な際にも、事前に何にいくらかかるのかを詳細に説明してくれる葬儀社は信頼できるでしょう。
ポイント2:遺族の希望を丁寧に聞き、選択肢を示してくれるか
遺族の気持ちに寄り添い、希望に沿った提案をしてくれるかどうかはとても重要です。口頭でのヒアリングだけだと聞き漏れてしまうこともあるため、ヒアリングシート等を用意してくれる葬儀社もあります。また、遺族にとって葬儀は初めての経験であることが多いため、知らないことを逆手にとって「一般的なプランはこちらです」と一方的に進める葬儀社もいます。一方的に提案をするのではなく、さまざまな選択肢を提示してくれる葬儀社は信頼できます。
ポイント3:低予算の葬儀を希望しても対応を変えないか
残念ながら、火葬式や一日葬などの低予算の葬儀を希望すると、とたんに対応が冷たくなる葬儀社も存在します。スタッフの対応に違和感を感じた場合は別の葬儀社に相談をしてください。その時は低予算の葬儀の実績が豊富な別の葬儀社や、親切に対応してくれる葬儀社に依頼しましょう。
ポイント4:契約を急がせないか
見積もり相談の際に「今すぐに契約すれば割引を適用できる」「早く決めなければ安置の追加料金がかさむ」などと契約を急かされるケースもあります。納得のいく葬儀を行うために大切なのは時間をかけて考えて選択し準備を行うことです。複数社を比較検討する余地を与えずその場での契約を強引に迫るような葬儀社は信頼できません。
ポイント5:支払いの期日や方法に柔軟性があるか
以前は、葬儀終了後すみやかに現金一括払いが一般的でしたが、近年では葬儀後1週間程度までの支払いが主流となってきています。料金の支払日は葬儀社によって異なるため、事前に確認しておきましょう。また、支払い方法も現金一括の他にクレジットカード払いや分割払い等に対応している葬儀社もあります。
ポイント6:わかりやすいパンフレットや資料を用意しているか
初めて葬儀を依頼する遺族にとっては、葬儀社による口頭の説明だけでは内容が整理できず、正しく判断できなくなってしまうことが考えられます。葬儀の流れや葬儀に必要なもの、タイムスケジュールなどがわかりやすくまとめられたパンフレットや資料を用意している葬儀社は安心です。
ポイント7:お客様の声や事例などを見ることができるか
葬儀社は、インターネットやチラシやテレビCMなど、あらゆるメディアを使って自社のサービスを宣伝します。当然ですが、そこでは自分たちのことをよく見せようとします。一番信頼の置ける情報は、その葬儀社で葬儀をしたことのある人の感想や意見です。Webサイトやパンフレットにお客様の声や葬儀事例、お客様アンケートが掲載されているかどうかも葬儀社選びの判断材料になるでしょう。また、それらの事例やお客様の声について、更新日や地域、お客様の年齢や性別などが明確にされているとより信頼できます。
ポイント8:電話対応が丁寧か
お問い合わせした際の電話の印象は非常に大切です。その印象がそのまま葬儀の質に直結するといっても過言ではありません。電話越しのスタッフの対応が、こちらの気持ちに寄り添う受け答えをしてくれるかで、その人柄がなんとなく分かるものです。
遺族はほとんどの場合、葬儀について「何も分からない」という状態です。何が分かっていないかを察した上で、こちらが分かる言葉を用いて説明してくれるスタッフは、大変優秀で心配りが行き届いていると言えるでしょう。
さらに、表情や身振りや資料もなしに、言葉だけで、相手を理解させることはなかなか難しく、それができるスタッフは極めて能力が高いといえます。顔こそ見えないものの、電話にも人柄はよく表れます。その印象が、そのまま満足度につながるというのはよく聞く話なので、判断材料のひとつにしてよいでしょう。
また、近年では多くの葬儀社が電話対応をコールセンターに委託しています。そういった場合、電話対応をしたスタッフが葬儀のすべてを把握しているとは限らず、電話の内容と実際のサービスに差が出てしまうこともあります。そのため、納得のいく葬儀を行うためには事前相談の活用をおすすめします。
ポイント9:最初から最後まで同じスタッフが担当してくれるか
大手の葬儀社では従業員数が多く、一つの葬儀を複数の担当者が対応するというケースがあります。効率が良いという強みもありますが、事前に打ち合わせをするスタッフと、当日進行するスタッフが別ということも珍しくなく、スタッフの間での共有が上手くいかず、遺族の要望が伝わっていなかったというケースもみられます。また、共有がきちんとできていたとしても担当者が頻繫に変わることで「故人らしさ」が薄れてしまいマニュアルに徹した葬儀になってしまうことも考えられます。
一方で、中小葬儀社はスタッフの人数が多くないため、ほとんどの場合葬儀前の打ち合わせから当日の進行、アフターフォローまで同じスタッフが担当します。最初から最後まで一貫して対応してくれるので、より遺族に寄り添ったサポートが期待できます。葬儀の規模が小さくなってきている今、その人らしい葬儀を希望するのであれば、「最初から最後まで同じスタッフが担当してくれるかどうか」を一つの判断基準にしましょう。
ポイント10:必ず複数の葬儀社を比較検討しましょう
葬儀社選びで失敗しないためには、複数の葬儀社に問い合わせ、選択肢を増やすことが重要です。また費用を安く抑えるためには、相場を知ることがとても重要です。複数の葬儀社に見積もりを出してもらうことで、相場を把握しましょう。上記の10のポイントに当てはまるかどうかを横に並べて比較してみると、自ずといい葬儀社とそうでない葬儀社が浮かび上がります。
まとめ:葬儀の満足度は「人」で決まる!信頼できる葬儀社を見つけよう
故人にとっても遺族にとってもたった一度の葬儀、やり直しすることはできません。良い葬儀は良い葬儀社選びから始まります。後悔しないためにも、必ず複数社比較検討するようにしましょう。
最近はインターネットで、葬儀仲介サービスサイトがあふれていますが、この利用はあまりおすすめしません。なぜなら、どんな葬儀社が対応してくれるかが分からないからです。「3.「誰が」対応するかで葬儀の満足度は決まる」でもお伝えした通り、葬儀のよしあしは「人」で決まります。仲介サービスサイトでは、葬儀社と直接やり取りする機会が少なく、実際に葬儀を行うスタッフの人柄まで判断できないのです。安心して葬儀を行うためにも、事前の葬儀選びを正しく行い、信頼できる葬儀社を見つけましょう。