「葬祭扶助制度」をご存知ですか?
2018年7月20日
「葬祭扶助制度」をご存知でしょうか?
これは、生活保護受給者で葬儀の費用を捻出できずに困っている人たちに、その費用を国が助成する制度です。
目次
『生活保護法』が定める8つの保護
『生活保護法』では、次の8つの保護を定めており、「葬祭扶助」はそのうちのひとつです。
- 生活扶助 衣食などに関わる扶助
- 教育扶助 学校教育や学用品の扶助
- 住宅扶助 住居に関わる扶助
- 医療扶助 診察や薬剤に関わる扶助
- 介護扶助 介護や福祉用具の扶助
- 出産扶助 分娩に関わる扶助
- 生業扶助 就労に関わる扶助
- 葬祭扶助 葬祭に関わる扶助
『葬祭扶助』は、自己負担0円で直葬が行える
「葬祭扶助」とは、遺体の処理のための必要最低限の資金を国が補助します。
「遺体の処理のための必要最低限」とは、直葬、つまり火葬することです。
『生活保護法』の条文には次のように記載されています。
- 第一八条
- 葬祭扶助は、困窮のため最低限度の生活を維持することのできない者に対して、左に掲げる事項の範囲内において行われる。
- 検案
- 死体の運搬
- 火葬又は埋葬
- 納骨その他葬祭のために必要なもの
具体的には、以下のものに対して、国が負担してくれます。
- 遺体の搬送(病院〜安置所〜火葬場)
- 棺
- ドライアイス
- 火葬料
- 収骨容器
- 死亡診断書(死体検案書)の文書作成ならびに届け出
逆にここに含まれないもの、たとえば、寺院の読経や、棺の中に納めるお花などは自己負担になります。
葬祭扶助はあくまでも最低限の直葬のみに支給されます。
葬祭扶助の支給金額
大人 206,000円以内
小人 164,800円以内
この範囲内で直葬を行います。
なお、支給金額は自治体によって異なります。
葬祭扶助の対象者
生活保護受給者が死亡し、生活保護受給者が喪主となる時です。
喪主が資産を有している場合は、葬祭扶助は適用されません。
葬祭扶助制度を用いた葬儀の流れ
- 臨終ご臨終となりましたらまずは自治体の福祉事務所、あるいは担当者に連絡をします。
葬儀社の選定は、基本的には費用を捻出する福祉事務所が行います。 - お迎え〜安置自宅への安置か、火葬場などの安置施設の利用かを葬儀社に伝えてください。
また、葬儀社には必ず葬祭扶助の適用を伝えましょう。 - 死亡届の提出死亡届の提出は葬儀社で代行します。この時に葬祭扶助を申請することで、火葬料等が減額されます。
- 火葬火葬日程は葬儀社と打ち合わせをして決めます。
火葬場での寺院による読経、お花の手配、香典返しなど自費負担になります。 - 支払い葬儀費用の支払いは、福祉事務所から葬儀社にされるため、遺族には金銭のやり取りは発生しません。