後飾り祭壇の飾り方を知っていますか?設置~片付け方法を解説
皆さんは「後飾り祭壇」をご存知ですか?「後飾り祭壇」とは簡単にいえば、火葬後の故人の遺骨を自宅で祀るための祭壇です。いざ、自宅に設置するとなった場合、皆さんは正しく飾ることができますか。本記事では、後飾り祭壇に必要なものから、設置方法、片付けまでを解説しています。是非参考にしてくださいね。
目次
後飾り祭壇とは?
「後飾り祭壇」とは、葬儀が終わり、火葬場から自宅に戻ったご遺骨を一時的に祀るための祭壇のことをいいいます。「中陰壇(ちゅういんだん)」「後飾り」「自宅飾り」とも呼ばれています。中陰壇という呼び方は、主に西日本で使用されており、中陰とは、故人が成仏するまでの四十九日までの期間を指します。
仏教において、死後四十九日の間は中陰といわれる修行期間であるとされています。この期間に閻魔大王によって故人が極楽浄土へ行けるかどうかの裁きが下されます。故人は修行を行い、遺族は故人が成仏できるように七日ごとに中陰法要を行います。近年ではそれが簡略化され、初七日と四十九日にのみ、法要が行われるようになってきています。また、初七日法要は葬儀・告別式当日に行われるケースも増えています。
後飾り祭壇は故人が成仏するまでの間、遺骨を安置しておく場所というだけでなく、通夜や葬儀に参列できなかった方々が、後日弔問に訪れた際にお参りしてもらう場所としての役割もあります。
後飾り祭壇と祭壇の違いは?
葬儀における祭壇とは、葬儀会場の正面に設けられている壇のことで、遺影写真を飾り、供物を捧げて故人を供養するという意味を持っています。以前は白木で組まれた祭壇が一般的とされ、ほとんどのお葬式でこの祭壇が使用されていました。祭壇は宗派によって種類が異なるほか、葬儀の形が多様化する現代においては、たくさんの生花を飾る花祭壇が人気となっています。
後飾り祭壇とは、葬儀から四十九日まで遺骨を安置するものですので、その役割やつくりは葬儀における祭壇とは大きく異なります。
後飾り祭壇の費用相場は?
後飾り祭壇は多くの場合、葬儀社による葬儀プランに含まれているか、オプションとなっているかのどちらかです。費用は5000円前後となっている場合がほとんどですが、事前に確認しておきましょう。
あまりにも高価な場合や、こだわりがある場合にはご自身で用意することも可能です。通販サイトでは3段式の祭壇が5000~10000円程度で販売しています。木製のものは比較的高価で、段ボール製のものは安価で売られています。後飾り祭壇としてだけでなく、お盆やその他法要などで使用する場合にはできるだけ丈夫な木製のものを選ぶと良さそうです。また、組み立て式のものは収納もできて便利です。
後飾り祭壇を設置するタイミングは?
遺骨が火葬場から自宅に帰るまでの間に、後飾り祭壇の準備を行います。自宅葬の場合は、故人を納めた棺が火葬場に向けて出発した後に準備を始めます。葬儀用の祭壇を移動させて掃除し、必要なものを設置してください。斎場で葬儀をする場合は、火葬場へ行かなかった遺族が自宅に戻り、後飾りを設置します。
後飾り祭壇を飾る期間は?
後飾り祭壇は、葬儀が終わり火葬場から遺骨が戻ってから埋葬や納骨を終えるまで飾るのが一般的です。ただし、期間は宗教によって異なります。仏式であれば四十九日、神式は五十日祭りまでとなっています。キリスト教式の場合、プロテスタントは召天記念日、カトリックは追悼ミサまで飾るのが一般的です。
後飾り祭壇はどこに設置すればいいの?
自宅に仏壇がある場合は、仏壇の前や仏壇の傍に設置しましょう。自宅に仏壇がない場合は、できれば部屋の北側か西側に設置します。場所が選べない場合は、弔問客を案内しやすい場所やご家族がお参りしやすい場所に設置してください。
直射日光の当たる場所や湿気の多い水回りは、遺骨の状態を悪くしてしまうことがあるので避けましょう。
後飾り祭壇に必要なものは?
後飾り祭壇に必要なものは、宗教によって異なります。ここでは宗教別に後飾り祭壇に必要なものをご紹介します。
【仏式の場合】
・2段または3段の棚
・白い布(白木の棚以外の場合)
・遺影
・遺骨
・位牌
・お線香
・ろうそく
・生花
・鐘や鈴
・仏飯、お水、お茶、お菓子等
その他にも故人が生前好きだったものや、思い出の品をお供えしても良いでしょう。
また、後飾りに使われる仏具は、基本的に仏壇で使われているものとなります。既に仏壇を持っている方は、後飾り用として改めて準備する仏具はほとんどありません。事前にチェックしておき、必要なものがあれば準備しておきましょう。
【神式の場合】
・八足の3段の棚(仏式と同じ棚を使う場合もあります)
・白い布(白木の棚以外の場合)
・遺影
・遺骨
・霊璽(仏式でいう位牌)
・榊
・ロウソク
・三方(お供え物を置く台)
・とっくり(酒を入れる器)
・水玉(水を入れる器)
・皿(洗米と塩を盛る器)
・玉串
お供え物は正式には水と酒、塩、洗米のみですが、特に厳密なルールはありません。故人が好きだった果物などをお供えしても良いでしょう。
【キリスト教式の場合】
・小さめのテーブル
・白い布
・十字架
・遺骨
・遺影
・生花
・ロウソク
・聖書
・パン
お供え物にルールは存在しません。故人が好んで食べたお菓子やフルーツなどをお供えしても良いでしょう。
後飾り祭壇の飾り方は?
後飾り祭壇の飾り方は宗教によって異なります。ここでは宗教別に後飾り祭壇の飾り方について解説します。
【仏式の場合】
仏式の後飾り祭壇は、白木の二段もしくは三段の祭壇を作ります。白木でないものには白い布をかけるようにします。どの段に何を供えるかは厳密に決まりはありませんが、一般的には最上段に遺骨・遺影・位牌を飾ります。祭壇が三段の場合は、上段に遺骨と遺影、中段に位牌を置きます。そして下段にはお線香・ロウソク・鈴・お花・お供え物を飾ります。仏飯・お水・お茶は毎日取り替え、果物・お菓子・生花も痛む前に取り替えるようにしましょう。四十九日が明けるまでは、供養としてできるだけ毎日ロウソクに火を灯し、お線香は絶やさないようにします。
宗派や風習、地域によって、飾り方や供える物は異なる場合があります。例えば浄土宗の場合は、仏飯・お水等の霊供膳(りょうくぜん)はお供えしません。事前に確認しておくと安心です。
【神式の場合】
神式では、正式には仮霊舎(かりみたまや)と呼ばれる、白木で作られた八足の祭壇を使います。八足の祭壇は、左右に4本ずつ脚があるものを指します。場合によっては仏式と同じ、三段または二段の棚を使うこともあります。
神式では、葬儀が無事に終了したことを神様に知らせるための「帰家祭(きかさい)」という儀式を行います。遺骨と遺影は祭壇の上段に配置し、榊(さかき)と霊璽(れいじ)は中段に、そして、三方(さんぼう)に乗せた徳利や、水玉、皿、玉串(たまぐし)などを下段に設置します。徳利には神酒を、水玉にはお水を、皿には塩と洗米を盛ります。
【キリスト教式の場合】
キリスト教徒は自宅に祭壇があることが多く、その場合、新たに後飾り用として祭壇を用意する必要はありません。また、後飾りにもとくに定められたルールがありません。一般的には小さめのテーブルに台を作り、白い布で覆います。十字架は上段、遺骨と遺影は中段、聖書や生花、お供え物などは下段に設置します。お供え物にも決まりがないので、自由なものを供えられます。また、埋葬するまで毎日ろうそくを灯します。
後飾り祭壇はどのようにして片付けるの?
後飾り祭壇は故人の遺骨を一時的に祀るためのものですので、納骨や埋葬、散骨が終わったらその役目は終わりです。役目を終えた後飾り祭壇はお清めなどの必要がなく、そのまま処分してしまって問題ありません。お住まいの地域の分別ルールに従って処分してください。
とはいえ一般ゴミとして処分するのは気が引けるという方もいらっしゃるでしょう。葬儀会社に引き取ってもらえる場合があるので一度相談してみましょう。
また、一回忌やお盆などに再利用することも可能ですので、その場合は無理に処分せずご自宅で保管しておきましょう。
白木位牌(仮位牌)の扱いには注意!
役目を終えた後飾り祭壇はそのままゴミとして処分したり、葬儀社に処分してもらっても構いませんが、後飾り祭壇に置いていた「白木位牌(仮位牌)」はお焚き上げが必要です。
そもそも「白木位牌(仮位牌)」とは、故人が亡くなった後葬儀に用いる位牌を指し、本位牌とは区別されます。この白木位牌には、「戒名紙(法名紙)」という僧侶が故人の戒名(法名)を記した用紙を貼り、「仮の位牌」として葬儀から四十九日まで用います。
そして四十九日以降は本位牌を使用します。四十九日法要では、白木位牌から本位牌に故人様の魂を移し替える「位牌開眼(いはいかいげん)」を行います。
白木位牌には故人の魂が宿っているとされているため、不要になった後もゴミとして処分せず、お寺などに渡してお焚き上げしてもらいましょう。お焚き上げする場所や方法などに関して少しでも不安があれば葬儀社やお寺に確認しておくことをおすすめします。
まとめ
いかがでしたでしょうか?後飾り祭壇の設置場所、飾り方、お供え物に関する一般なマナーをご紹介しましたが、必ずしも守らなくてはいけないわけではありません。宗教や宗派、風習や地域によってその方法はさまざまで、これといった決まりは存在しません。ご自身にあった方法で、大切な故人が旅立つまでの四十九日を過ごしましょう。
後飾り祭壇について不安や疑問、お悩みなどがございましたらかながわセレモニーサポートにご相談ください。