終活はいつから?はじめるべきタイミングについて
人生100年時代と言われるような世の中になりました。物質的なものは豊かにはなったけれど、心はついていかないという声も聞かれます。自分らしく生きていきたいといっても、「自分らしさって何だろう?」という疑問が生じる方も多いのではないでしょうか。
終活は自分らしさと向き合い、あなたの人生をより豊かにするための活動です。もちろん「終活」=「死を考える」ということなので、誰でも不安になったり心配になったりするのは当然です。ですが真剣に向き合い取り組むことで、これからの生き方がもっと豊かになります。
この記事では終活の意義や、はじめるべきタイミング、終活でやるべきことについて解説します。少しでも当てはまると感じた方は是非今日から終活をはじめてみましょう。
目次
終活は大切な人との繋がりを再確認するためのツール
実際に相談に来る高齢者の方の話を聞くと「残される家族に迷惑をかけたくない・負担になりたくない」というお悩みがほとんどです。さらには「お葬式はしなくてもいい」という発想になってしまう方も少なくありません。本人はそう考えていても、果たして家族にとってお葬式を行うことは本当に迷惑なのでしょうか?
例えば、もし親御さんが「お葬式は迷惑がかかるからしなくていい」と考えているのなら、手を差し伸べるのはあなたです。終活をきっかけに繋がりを再確認しましょう。「何かあったらすぐに行くからね」「心配しなくても大丈夫だよ」と声をかけあうことこそが大切なのです。終活はあくまでも1つのツールです。エンディングノート等のツールを通して人生の最期に向き合うことで、本当に必要なのは準備だけでなく「ありがとう」という感謝の気持ちや、お互いを思いやる気持ちだということに気づかされるでしょう。
終活やエンディングノートという存在は今や9割以上の方が認知しています。しかし実際にエンディングノートを持っていて、書いたことがあるという人はそのうちの5%しかいません。旅立つ本人にとっても、残される家族にとっても、後悔を少なくするためには行動するしかないのです。実際には「残された家族に迷惑をかけないように、負担をかけないように」と一人でお墓や葬儀の準備をしにいらっしゃる方が多いですが、できればご本人だけでなくご家族も一緒に取り組むことをおすすめします。
終活をはじめるならいつ?最適なタイミングは?
今から終活をはじめよう!といっても、すぐに行動に移せる人はなかなかいません。終活はご自身のタイミングで始められて結構ですが、多くの人が終活をはじめるきっかけとなったタイミングを具体的に紹介します。少しでも当てはまると感じた方は、今が最適なタイミングなのです。
定年を迎えたとき
定年で仕事をリタイアすると生活は大きく変わります。社会人としての義務的な役割から解放されたことで、自分の人生を見つめ直し、どのような最期が理想的かを考える時間をとれるようになります。古希、喜寿など、明確な年齢の節目としての慶事も、これまで生きてきた足跡を振り返り、今後の生き方を考える機会になるようです。子育てが終わったとき、子どもが結婚したとき、孫が生まれた時など、自分が親から祖父母になったときに終活を意識する人も多いようです。
自分や家族の健康に不安を感じたとき
実際に相談に来られる方の中には、身近な人が余命宣告を受けたり、危険な状態になったりしてから初めて考える方が多いのが現状です。終活は年齢を重ねるほど負担になってしまいます。余命宣告を受けた人に対して「今から終活をしよう」というのは非常に難しいことです。冗談交じりで、笑いながら話せる元気なうちに始めるのがベストです。また、入院を伴うような大きな体のトラブルが自分自身の身に起こったとき、死を間近に感じることになります。この時もまた、終活を意識するタイミングになる方が多いのです。終活は、自分が死んでしまった後に残された家族が困らないように行う活動のことです。具体的には、自分の身の回りの整理や、遺産相続について遺言を残したり、万が一の時に備えて葬儀社との打ち合わせを行っておいたり。肉体的にも精神的にも大変な仕事となるので、やはり元気のあるうちに手を付けるのが理想です。
結婚したとき、子どもがうまれたとき
結婚したり、子どもがうまれたり。新しい家族が増えるということは、あなたの身に何か起こった時に影響を受ける人が増えるということです。年齢に関係なく終活をはじめるベストタイミングといえます。自分だけでなく、配偶者や子どもと一緒に考えると尚良いでしょう。
身近な人の死に接したとき
家族や友人、お世話になった知人が亡くなったときには、もちろん深い悲しみや喪失感を感じますが、死を強く意識する機会でもあります。特に親族の方が亡くなった場合は、遺品整理などで大変な思いをされるケースが少なくないため、終活に対して強い意識を持って取り組まれる方も多いようです。ただ、身近な方が亡くなられたときは、ご自身の心も深く傷付きます。焦らず、ゆっくり、ご自身のペースで終活を進めて行きましょう。
コロナ禍で不安を感じたとき
コロナについてのニュースが毎日報道されていることもあり、以前に比べて死を身近に感じる人も多いでしょう。コロナ禍で何があってもおかしくない時代だからこそ、始めるなら今です。自分や家族の身にいつ何が起こってもいいように、あらかじめ話し合っておきましょう。
お正月やお盆など、家族や親戚が集まるとき
お盆やお正月などで家族や親戚が集まるタイミングで、終活について話題を出すのもいいでしょう。何気ない日常の中で、家族みんなで話すことで、普段は聞けないホンネが聞けたり、これからの人生でしたいことなどが見つかったりするかもしれません。改まると話しにくいという方には特におすすめです。
家族や配偶者に終活を勧めたいと思ったとき
家族や配偶者に終活を勧めたいと思ったら、まずはあなたが実践しましょう。誰かと一緒にはじめることで、不安や心配は少なくなります。
おひとりさまで、将来に不安を感じたとき
おひとりさまは元気なうちに不安なことを明確にして、一つずつ解消していくと良いでしょう。葬儀社のスタッフや終活アドバイザーが相談に乗ってくれるので、一人でも心配はありません。
終活をするのに「早すぎる」ことはない!
終活は高齢者に向けて発信することも大切ですが、団塊ジュニア世代や、若い世代、未来を担う子どもたちこそ考えるべきです。もし大切な人が余命半年と知ったら。自分の命の終わりが限られていると知ったら。あなたはどんなことを残していきますか?また、誰に何を伝えますか?10代、20代のお子さんや兄弟姉妹がいるという方も是非一緒に終活をはじめましょう。コロナ禍に際して死や病が身近になり、皆さんも「明日どうなるかわからない」と一度は不安を感じたはずです。終活に早すぎることは決してありません。大切な人と一緒に今から始めましょう。
終活では具体的に何をするの?
エンディングノートを書く
終活をするうえで欠かせないツールとなっているのがエンディングノートです。エンディングノートとは、自分の最期や死後に備えて、残される人達に必要な情報を記したり、伝えておきたい要望などを書き留めておいたりするためのノートです。不安を解消し、自分の気持ちを整理するとともに、残りの人生を有意義に過ごすための道しるべとなります。エンディングノートには何を書いても構いませんが、主に以下のような内容を記す人が多いようです。
・自分のこと
・家族のこと
・ペットのこと
・身の回りのこと
・資産のこと
・医療や介護のこと
・葬儀やお墓のこと
【自分のこと】
生年月日や本籍地、マイナンバーや運転免許証番号等の基本的な情報は、万が一の時に家族が確認しやすくなるので書いておくと良いでしょう。また、自分史や、好きな食べ物、好きな色、趣味など内面的なことを書くことで自分らしさと向き合うことができ、今後の人生をよりエンジョイするためのきっかけにもなります。新しい自分にも気づくことができるかもしれません。どんな些細なことでも書き留めましょう。
【家族のこと】
家族への連絡先や親族表などを作成しておきましょう。亡くなった時にスムーズに訃報を連絡したり、相続人と相続順位の把握をしたりする際にも役に立ちます。
【ペットのこと】
特に一人暮らしをされている場合は、残されたペットを引き取り、きちんと世話をしてくれる人や場所を確保しておきましょう。ペットも大切な家族です。病歴や年齢、特徴なども記しておくと良いでしょう。
【身の回りのこと】
SNSやWebアカウントのIDやパスワードといったデジタル情報は、わからなくなってしまうと永久にインターネット上に残ってしまいます。ログイン情報だけでなく、アカウントを残すか退会するか等も合わせて記入しておきましょう。また、SNSなどで投稿したいメッセージなどがあれば、付け加えておきましょう。
【資産のこと】
資産について、例えば口座の暗証番号やクレジットカード番号、通帳の場所などすべてを明記すると、不正利用されてしまう恐れがあるので注意しましょう。エンディングノートの紛失を想定したうえで、あくまでも家族にわかる範囲で書き留めおくことをおすすめします。また、エンディングノートは遺言書と違って法的効力がありません。死後の手続きを進めやすくするための参考として書くようにしましょう。
【医療や介護のこと】
あなたの身に万が一のことがあったとき、かかりつけの病院や、飲んでいる薬、ドナー提供の意思などがわかればよりスムーズに対応することができます。また、家族が延命措置などの決断を迫られた場合の精神的負担を軽減するためにも、対応方法や要望をまとめておきましょう。認知症などで意思疎通が困難になったときのために、介護のことについても記しておくことをおすすめします。
家族や知人へのメッセージを用意する
家族や親族、親しい友人やお世話になった方への感謝の気持ちや伝えておきたいことなどをまとめておきましょう。エンディングノートに記録するのも良いですが、写真と共に思い出を記録したり、手紙を書いたりするものおすすめです。万が一の時に連絡してほしい知人や友人のリストを作成しておくのも良いでしょう。
生前整理を行う
生前整理といわれると少し重い印象を受けますが、要するに身の回りの片付けをしましょう、ということです。必要なものと不要なものに分けて身辺を整理することは誰にとっても大切なことです。無理にすべてを捨てる必要はありません。不要だけど捨てたくないものは取っておいて構いません。「1年以上使っていないものは処分する」「残された家族に譲る」など一定の基準を設けておくと整理しやすくなるのでおすすめです。貴重品などは一箇所にまとめ、きちんと保管しておきましょう。何かあった時に素早く取り出せます。
遺言書を作成する
先ほどもお伝えした通り、エンディングノートには法的な効力はありません。相続の希望は遺言書に記しましょう。遺言書は、民法で定められた法的な文書です。指定の形式以外で書かれたものは無効となるので注意が必要です。
葬儀やお墓の準備をする
希望する葬儀の形式や予算をあらかじめ決めておくことで、残された家族にとってもご本人にとってもより後悔の少ないお別れができます。お墓についても同様に、希望する埋葬方法や墓地、予算などを明確にしておくことをおすすめします。葬儀やお墓の準備で大切なことは「すべて一人で進めようとしないこと」と「すべてを葬儀社に任せないこと」です。この2つは一見相反するように思えますが、ご自身の要望を大切にしながら、信頼できる葬儀社やご家族と一緒に決めることがトラブルなく納得のいく最期を迎えるための近道です。
葬儀社の事前相談を活用する
ここまで終活で行うべきことをざっと説明してきました。とても自分1人ではできそうにないと不安に思った方も多いでしょう。ですが、終活に詳しい専門家はたくさんいます。まずは安心できる葬儀社のスタッフに相談してみましょう。具体的な内容が決まっていなくても、「終活を始めたい」という気持ちがあれば十分です。無料で相談を行っている葬儀社もたくさんあります。是非活用しましょう。
生前予約をする際には、葬儀プランの変更や解約ができるかどうか、事前に確認しておきましょう。見積もりが明瞭ではなかったり、スタッフの対応に違和感を感じた場合は別の葬儀社に相談をしてください。複数の葬儀社を比べることで、より自分に合った葬儀社を選びましょう。
人生をエンジョイするための「終活」をしよう
終活と聞くとどうしても暗い印象を持たれがちです。相続や財産の話をするのも、いくら親子関係でも気が乗らないこともあるでしょう。ですがこれからの人生でしたいことが見つかったり、前向きになれたり。ポジティブな側面もあることを知っておきましょう。例えば、もう一度生まれ故郷に行きたい。歌が好きだからお別れの時にはシャンソンを流して、薔薇の祭壇を作って、ブランデーをお花にかけて…と。人生をより豊かに、エンジョイするための終活と捉えてほしいのです。
まとめ
生前整理、葬儀やお墓の準備、相続の問題、一つずつ見ていくと少し暗いことに見えますが、きちんと準備し、事前相談をしておくことで、いざという時の時間を大切に過ごすことができます。準備をしていた人にとっても、お別れはもちろん辛く悲しいことです。しかし、明日への第一歩を踏み出して、希望を持って進もうとされている方が多いように感じます。「死」というお別れではありますが、それは新たな始まりでもあります。それを元気なうちに知っておくことが大切です。亡くなってからでは遅いのです。終活を通して「死」と向き合うことでより後悔しない最後を選べるということを認識しておきましょう。
例えば父親が亡くなり、その後に葬儀について考えるとします。もちろん葬儀社スタッフがヒアリングをして、思いを形にし、最期を演出するお手伝いはできますが、「果たしてそれは故人が本当に望んでいたのだろうか?」と後悔を感じることもあるでしょう。もっと早く家族で最期について考え、生前に要望を伝えていたら、残されたご遺族の後悔はより少なくなります。これでよかったのか?という後悔や不安が、事前に話し合っておくことで少なくなるのです。
葬儀は一度きり。後悔しないための終活を今から始めましょう。大切な人と一緒に最後について考えましょう。終活のアドバイスや事前相談はかながわセレモニーサポートまで。