新たな供養の形「海洋散骨」とは?費用相場や流れについて知ろう

2022年4月1日

海洋散骨

 

新たな供養の形として選ぶ人が増えている「海洋散骨」。社会的認知は広がっているものの、埋葬してお墓を建てるのが一般的な日本ではまだまだマイナーな葬送といえます。今回は「海洋散骨」をより深く理解するために、海洋散骨の基礎知識から流れ、メリット・デメリット、費用相場、注意すべきポイントを網羅的にご紹介します。

 

葬儀費用の平均や費用相場、葬儀費用を安く抑える方法について合わせて知りたい方は「葬儀の費用相場はいくら?費用を安く抑える10の方法を大公開」をお読みください。

 

目次

海洋散骨を選ぶ人が増えています

 

夕暮れ時の海

 

散骨とは自然葬のひとつで、火葬した後の遺骨を粉末状にして海や山、空などに撒く葬送方法をいいます。

日本では古くから、人が亡くなると葬儀をしたあとに火葬し、遺骨をお墓に埋葬するというのが一般的とされてきました。しかし近年では、ライフスタイルや宗教観の変化、価値観の多様化により、散骨を選ぶ人が増えています。

 

散骨は「愛していた海や山に抱かれて眠りたい」「自然に還りたい」といった故人の生前の希望を叶えることができる葬送方法です。形式よりも、故人の希望を叶えることのできる散骨が今選ばれています。

また、近年の日本では核家族化や少子化の影響で、従来のような家系を重んじたお墓の管理が難しくなってきました。遠方で頻繫にお墓に赴くことが難しいという遺族にとっても、散骨は海や空を見ればいつでも故人をしのぶことができる供養の選択肢の一つとして注目されています。

 

海洋散骨のメリット・デメリット

海洋散骨のイメージ

海洋散骨にはどのようなメリットやデメリットがあるのでしょうか?それぞれ詳しく見ていきましょう。

 

海洋散骨のメリット

海洋散骨の主なメリットとして以下の点が挙げられます。

 ・故人の希望を叶えることができる

 ・お墓の購入費・維持費がかからない

 ・跡継ぎの心配がない

 ・費用が安い

 ・海を見れば故人を偲ぶことができる

ひとつずつ見ていきましょう。

 

・故人の希望を叶えることができる

故人の生前からの希望を叶えられることが、海洋散骨を行う最大のメリットといえるでしょう。

遡ること1991年。法務省が「葬送を目的とし節度を持って行う限り、死体遺棄には当たらない」という見解を示したことで、散骨が認められるようになりました。それ以前は、希望しても散骨は認められませんでした。

現在は「大好きだった海に還りたい」「海に抱かれて眠りたい」といった故人の想いを叶えることができるようになりました。

 

お墓の購入費・維持費がかからない

散骨する場合は、お墓を建てる必要はありません。一般的なお墓の購入費用は約150~200万円です。また、霊園への管理料やお墓の維持費も必要ありません。そのため、金銭的な負担を大きく軽減することができます。

 

跡継ぎの心配がない

少子化や核家族化が進んだり、自由に住まいを選べるようになったりなど、生活のあり方や価値観というのは大きく変化してきました。海洋散骨を選ぶと、お墓が必要ないので「跡継ぎがいない」「墓守がいない」という問題は起こりません。

 

・費用が安い

海洋散骨の実施にかかる費用が比較的安いということもメリットのひとつです。

一般的なチャーター船を借りての海洋散骨の費用相場は20万円前後で、業者に委託した場合は5万円前後で行うことができます。規模や乗船人数、どのような船を借りるかや、お別れ会や会食の有無などによっても費用は大きく異なりますが、お墓の購入・維持にかかる費用と比較すると、海洋散骨の方が圧倒的に金銭面での負担は少ないといえるでしょう。

※海洋散骨の費用相場については後ほど詳しくご紹介します。

 

・海を見れば故人を偲ぶことができる

遠方に住んでいて、お墓に赴くことが難しいといったご遺族のお悩みが多いのも事実です。海洋散骨は海を見ればいつでも故人を思い偲び、手を合わせることができます。例えば辛いことがあったとき、海を見れば故人が見守ってくれていると感じることができるでしょう。

 

海洋散骨のデメリット

海洋散骨の主なデメリットとして以下の点が挙げられます。

・周囲の理解が得られないことがある

・お墓参りができない

・一度散骨したら遺骨は戻ってこない

それぞれ具体的に見ていきましょう。

 

・周囲の理解が得られないことがある

お墓への埋葬が一般的な日本では、海洋散骨の存在は知っていても、抵抗を感じる人もまだまだ多くいます。本人の希望を尊重することは第一ですが、家族の同意も必ず得る必要があります。トラブルを避けるためにも、家族だけでなく親族とも話し合い、全員が納得したうえで散骨するようにしましょう。

 

お墓参りができない

海洋散骨の場合、お墓を持たないため、命日やお盆にお参りに行くことができません。しかし、遺骨の一部を残して手元供養することで、故人を身近に感じることができます。また、海洋散骨=お墓が持てないというわけではなく、遺骨の一部をお墓に埋葬することも可能です。

 

・一度散骨したら遺骨は戻ってこない

一度海に撒いた遺骨は二度と戻りません。故人や家族の希望はもちろん、親族全員が納得いくまで話し合うことが大切です。

遺族の間でも「散骨をして故人の希望を叶えてあげたい」という意見や「散骨せずにお墓を建てたい」「散骨するのはまだ早い」という意見に分かれることはよくあります。

散骨するかどうかはもちろん、全員が「今なら故人に喜んでもらえるだろう」と思える納得のタイミングで散骨するようにしましょう。

 

海洋散骨の方法

江の島と富士山

海洋散骨には主に以下の4種類の方法があります。

・個人散骨

・委託散骨(代行散骨)

・合同散骨

・チャーター散骨

それぞれ詳しく見ていきましょう。

 

・個人散骨

散骨は個人で行うことも可能です。粉骨から散骨まで、すべての工程において個人で行っても問題はありません。

 

散骨する際のマナーとして、遺骨を2mm以下まで粉骨するという作業が必須となります。粉骨を個人で行うとかなりの時間がかかります。平均的な7寸壺の遺骨を2mm以下まで粉化するのには約20時間以上は必要だといわれています。

 

粉骨はハンマーやすり鉢を使えば個人で行うこともできますが、遺骨を砕くのは精神的にも大きな負担になります。それ故、個人で粉骨から行う人はほとんどいません。粉骨は専門の業者に依頼するのが一般的です。

 

また、海洋散骨は殖場周辺の海域や、海水浴場等などで行うことができません。海岸から離れた沖で行うのが一般的です。そのため、沖まで行くための船が必要となります。船を所有していない場合や、免許を持っていない場合、船を借りたり運転できる人を準備する手間がかかります。

そういったことからも、海洋散骨は専門の業者に依頼するのがおすすめです。

 

・委託散骨(代行散骨)

委託散骨は、業者が遺骨を預かり粉骨から散骨までを代行します。当日、遺族は船に同乗せず、散骨は業者だけで行います。

 

・合同散骨

合同散骨は、業者が遺骨を預かり、粉骨を代行します。散骨当日は、複数のご家族が1つの船に乗って出航し、散骨を行います。1つの船に2~3グループで乗船するのが一般的です。

 

・チャーター散骨

チャーター散骨は、クルーザーを一隻貸し切ってご家族や親しい方だけで散骨を行います。貸切のため、心ゆくまでゆっくりとお別れすることができます。粉骨作業は委託散骨や合同散骨と同様に業者に依頼するのが一般的です。

チャーター散骨では、自由度の高い散骨を行うことができるのが特徴です。船上でお別れ会や会食を行ったり、故人の好きだった音楽をかけたり、思い思いの方法で見送ることができます。

 

海洋散骨の費用相場

多くの人にとって最も気になるのが海洋散骨にかかる費用ですよね。海洋散骨の費用相場は、その方法や規模によって異なります。それでは、それぞれの費用相場について見ていきましょう。

 

・個人散骨の費用相場

先ほどもお伝えした通り、海洋散骨は節度を守れば、粉骨から散骨まで、すべての工程において個人で行っても問題はありません。

粉骨から散骨まで個人で行えば費用は0円です。

 

粉骨だけを業者に依頼し、所有している船で散骨を行えば、かかるのは粉骨代行の費用のみです。粉骨の費用相場は1~3万円程度です。遺骨の大きさや、立会いをするかどうかによっても費用は異なります。

船を所有していない場合には、借りるための費用がかかります。どのような船をどこから借りるかによっても費用は変わってくるでしょう。

 

・委託散骨(代行散骨)の費用相場

業者が遺骨を預かり、散骨を代行する委託散骨の費用相場は5万円程度です。遺族が同乗しない、複数の遺骨を一度に散骨できるといった理由から割安で依頼することができます。

委託散骨は、チャーター散骨の次に多くの人に選ばれる散骨方法です。

 

・合同散骨の費用相場

合同散骨は1隻の船に2~3組みの家族が乗り合わせて散骨を行うため、費用相場は10~20万円程度となっており、船を貸し切って行うチャーター散骨と比較すると安価です。

 

・チャーター散骨の費用相場

一隻を貸し切って行うチャーター散骨の費用相場は20~30万円程度です。

ただし、乗船人数や船の種類などによって費用は変わってきます。

また、船上で会食やお別れ会を行う場合にも別途費用がかかります。

 

海洋散骨のタイミング

手元供養

海洋散骨をするタイミングは人それぞれです。ここでは、海洋散骨を行うタイミングとして考えられるケースをいくつかご紹介します。

 

・亡くなってすぐに散骨する場合

海洋散骨をする際、遺骨をパウダー状に粉骨するといった準備が必要であるため、火葬当日に散骨するのは難しいでしょう。早くて火葬の数日後に散骨することができます。

 

・墓じまいの後に散骨する場合

お墓の管理や維持が難しい場合に、お墓じまいという選択肢があります。埋葬してある遺骨を取り出し、海洋散骨をすることが可能です。墓じまいの後は永代供養に次いで、海洋散骨等の自然葬を選ぶ方が増えています。

墓じまいをする際には、事前にお寺や霊園への相談が必須です。また、遺骨を取り出す場合には各自治体の役所で「改葬許可書」を発行してもらう必要があります。

お寺とのやり取りや改葬許可書の発行には時間がかかるため、墓じまいをして散骨をしたいと思ったら余裕をもって準備を始めるようにしましょう。

 

・自宅で保管していた遺骨を散骨する場合

散骨をするタイミングで最も多いのが、四十九日や一周忌といった節目です。それまで自宅で供養していた遺骨をこのタイミングで散骨します。また、散骨の実施日として故人の命日や、思い出の記念日を選ぶという方も多くいます。

一般的に、専門の業者に依頼してから散骨を行うまでは準備期間として1ヶ月ほど要します。そのため、散骨をしたいと考えているタイミングが明確に決まっている場合は、最低でもその1ヶ月以上前には業者に相談することをおすすめします。

 

海洋散骨の流れ

横浜みなとみらい

それでは海洋散骨をする際の、具体的な流れを見ていきましょう。

◆当日まで

・業者に依頼する

海洋散骨をすることが決まったら、散骨を取り扱っている業者に依頼をします。打ち合わせを行い、出航場所や日時、散骨海域等を細かく決定します。

 

・お骨を預ける

散骨には粉骨や洗骨といった作業が必要なため、依頼した業者に遺骨を一時的に預けます。お骨を預ける方法は、業者に直接渡すか、郵送などの方法があります。

 

・粉骨・洗骨

業者が散骨するための粉骨や洗骨を行います。遺族が立ち会うことができる場合もあります。希望する際は事前に確認を取っておきましょう。

 

◆散骨当日

・集合

指定された集合場所に集まり、船で散骨スポットへと移動します。沖までは約15分ほどで到着します。

 

・散骨の説明

散骨の方法や流れを改めて参加者に説明します。

 

・黙禱

散骨スポットに到着したら、散骨式を始めます。

まずは故人に黙とうを捧げます。

 

・献酒

水を清めるというかたちで献酒を行います。

 

・散骨

故人の遺骨をご遺族の手で海に撒きます。

故人に手を合わせ冥福を祈ります。

散骨の後は散骨スポットを船でゆっくりとまわり、故人を思い偲びます。

船上で会食などを行う場合もあります。

 

・散会

一般的な散骨式は、約1時間程度です。

散骨が終了したら、港に戻ります。

 

◆散骨後日

・メモリアルクルーズ

1周忌などのタイミングで、散骨スポットに赴き、故人に手を合わせるためのメモリアルクルーズを行うこともできます。希望する場合は業者に相談しましょう。

 

海洋散骨で注意すべきポイント

ノートに書きこむ人

納得のいく海洋散骨を行うために、海洋散骨において考えられるトラブルや注意点をご紹介します。事前にしっかりと確認し、トラブルを未然に防ぎましょう。

 

・親戚間でのトラブルに注意

海洋散骨の存在は知っていても、お墓への埋葬が一般的な日本では、抵抗を感じる人もまだまだ多くいます。伝統的な葬儀の形式や宗教を大切にしている人にとっては、遺骨を海に撒くことを受け入れられない場合があります。

そのため、ご家族や遺族が納得していないまま散骨を行ってしまうと、後々トラブルに発展しかねません。

 

故人の生前の希望で自然葬のひとつである樹木葬を選んだにもかかわらず、親族が信仰を大事にしており、樹木葬を終えた後に親族間でのトラブルに発展したというケースもあるようです。結局、一度樹木葬をしたお骨を掘り出してお墓に埋葬し直すということになってしまいました。

樹木葬の場合は、最終手段としてお骨を取り出すことができますが、海洋散骨の場合は一度撒いたお骨は二度と戻りません。

 

故人や家族の希望ももちろん大切ですが、後々トラブルにならないように、親族とも事前にしっかりと話し合っておくことが大切です。

 

・菩提寺とのトラブルに注意

いきなり墓じまいをして散骨をすると伝えると、快く思わない菩提寺の方もいます。唐突に申し出ると、菩提寺との関係が悪化してしまう可能性があるので、あくまでも相談というかたちで交渉を進めましょう。

 

・天候不順で延期になることも

海洋散骨は海上で行うため、どうしても天候に左右されてしまいます。どうしてもこの日に散骨をしたいという希望があっても、安全第一のため、予定していた日に決行できないこともあります。悪天候での散骨は故人にとっても良いものとは言えません。無理にその日にせず、業者と日程を調整し、安全に散骨を行いましょう。

 

・実体がない違法散骨業者に注意

散骨サービスを提供するためには資格や認可は必要ありません。

そのため、知識や経験、モラルがなく適切な散骨を行なわない、条例などの決まりを守らないといった業者も存在するようです。

中には「そもそも散骨をしない」「会社の実体を持たない」といった業者も存在するようです。価格だけで業者を選ぶとリスクがあります。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか?

後悔しないためにも散骨を検討する際は、本人の気持ちだけでなく、家族や親戚とよく話し合って決めることが大切です。

また、散骨を直接取り締まる法律はありませんが、守るべき条例やルール、マナーが存在しています。トラブルを避けるためにも海洋散骨をお考えの方は、専門の業者に依頼することをおすすめします。

 

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